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1.5型糖尿病です⑨(SPIDDM最新情報2024年1月

健康コラム
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日本糖尿病学会のサイトで2024年1月12日に「緩徐進行1型糖尿病疑い例への治療介入に関するステートメント」が発表されました。

昨年、愚者(サイト主)はSPIDDMにはインスリン投与よりシタグリプチンのほうが良いのではないか? という論文を見つけ、自由診療の病院で相談したことがありました(1.5型糖尿病です⑦(転院しました)。)。

シタグリプチンはDDP-4阻害薬*注1)ですが、上記のステートメントの要約には「DDP-4阻害薬も治療選択になり得る」と掲載されていました。

分かりやすいフローチャートが掲載されていたのでじっくり見てみました。

probabledefiniteにまずは分かれています。前者は「疑い」で後者は「確定」ですね。
自分の場合は抗GDA抗体値が高いので後者なのかもしれないのですが、一応診断基準を調べてみました。

緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2023)

日本糖尿病学会のホームページによると、

1. 経過のどこかの時点で膵島関連自己抗体が陽性である。
2. 原則として、糖尿病の診断時、ケトーシスもしくはケトアシドーシスはなく、ただちには高血糖是正のためインスリン療法が必要とならない。
3. 経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病の診断後3ヶ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり、最終観察時点で内因性インスリン欠乏状態(空腹時血清Cペプチド<0.6ng/ml)である。

判定:
● 上記1、2、3を満たす場合、「緩徐進行1型糖尿病(definite)」と診断する。
● 上記1、2のみを満たす場合は、インスリン非依存状態の糖尿病であり、「緩徐進行1型糖尿病(probable)」とする。

となっていました。愚者の場合、1、2は満たしていましたが、3は満たしていません。となると「probable」では? と思われました。

現在、運動+糖質コントロール中なので、血糖コントロール目標は達成していて、「食事療法・運動療法」を継続していればいいことになります。

とはいえ、ちょっとでも、糖質の高い食事(ごく普通の日本人の平均的な食事ってことです)を取ると、食後血糖値が爆上がりするので、膵臓に無理をさせたくはありません。そのためには、インスリン投与とDDP-4阻害薬服用とどっちが膵臓には良いの? というわけで、当初の疑問に対しては、今回の診断基準はあまり役には立ちそうにありません。

もっとも、2018年にSPIDDMと診断され、インスリン投与を開始する時に、バーンスタイン医師の本を読んで、糖質コントロールを始めていたら、インスリン投与していなかったのではないかなあと思ったりします。

インスリン投与と食事制限や運動習慣も、もう慣れてしまったので、今さらこれらの習慣を「絶対変えたい!」と思ってはいないのですが、今後またどのような治療法がより良いとされるのか、注意深く見守っていきたいと思います。

注1

食事を摂った時にすい臓から分泌されるインスリンの量を調整するなどして、血糖を下げる飲み薬。ほかの薬と併用せず、単独服用なら、低血糖を起こす危険性が低い体重を増やしにくいという長所があります。日本では2009年から使われるようになった比較的新しい薬で、2型糖尿病患者さんに最初に使われる薬の一つ。

DPP-4阻害薬のさらに詳しい仕組み)
食事を摂ると小腸からインクレチンというホルモンが分泌され、すい臓のベータ細胞を刺激してインスリン分泌を促したり、アルファ細胞に働いて血糖を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を少なくします。

インクレチンにはGLP-1、GIPがあり、どちらもDPP-4という分解酵素によって短時間で分解されます

DPP-4阻害薬DPP-4の働きを抑えることでインクレチンを長持ちさせて働きを強めインスリンを増やし、グルカゴンを減らして、血糖を下げます

インクレチンが多く分泌されるのは食事を摂った後であるため、DPP-4阻害薬の効果も食事のあとに強く現れ、食後の高血糖を改善する効果があります。

DPP-4阻害薬は商品名でいうと、テネリア(テネリグリプチン)、エクア(ビルダグリプチン)、ジャヌビア、グラクティブ(シタグリプチン)、スイニー(アナグリプチン)、オングリザ(サキサグリプチン)、トラゼンタ(リナグリプチン)、ザファテック(トレラグリプチン)、マリゼブ(オマリグリプチン)、メシーナ(アログリプチン)があり、合剤などを合わせるとさらに多くのお薬が市場に出ているそうです(カッコ内は一般名)。

薬剤の排泄経路が腎臓のものはCKD(腎機能障害)である場合は避けたほうがよく、リナグリプチンは胆汁排泄型なので安全、シタグリプチン、アログリプチンは腎排泄型なので用量調節が必要、ビルダグリプチンは、腎障害者では血中濃度が増加することが報告されており、用量調節が必要など、それぞれ違いがあります。

愚者(サイト主)の場合は尿アルブミン値が少し高かったので、シタグリプチンを選ばなくて正解だったようです。

また、DPP-4阻害薬はまだジェネリック医薬品が発売されていないため、比較的費用が高価なところが欠点だとか。

そして、それどころか、何と、SPIDDMは1型糖尿病に分類されるのでDPP-4阻害薬は保険適用されません(保険適用はインスリン製剤、αグルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬のみ)。2型糖尿病患者には保険適用なのですが……。

今後、保険適用範囲は変わるかもしれませんが、今のところDPP-4阻害薬を使うという選択肢は愚者にはなさそうです。

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