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1.5型糖尿病です⑧(MODY医師の本を読む)。

健康コラム
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日本人糖尿病医師の本が発売に

以前、愚者(サイト主)が1型糖尿病患者であるバーンスタイン医師の本を読み、とても役に立ったので、日本人医師でやはり自らが糖尿病患者である医師が本を出されたことを知り、読んでみました。

著者の田中慧医師がおだQという名前でYouTube発信している情報をまとめた本で、バーンスタイン医師同様、自らの糖尿病を研究するために医師になったという方でした。

バーンスタイン医師が1型糖尿病であるのに対して、おだQ先生は遺伝子型糖尿病であるMODY(*注1)、そのなかでもHNF-1αという遺伝子異常が原因のMODY3という糖尿病でした。

SPIDDMである自分とは違うタイプの糖尿病ですが、糖尿病患者ならではの視点から書かれた、やはり役立つ情報がいっぱいで、読んでおいてとても良かったと思いました。

2型と誤診されてから18年目に真実を知る

本書を読んで一番の衝撃は、著者が10歳の時に2型と診断されてから、医者を目指して医大に入り、そこの図書館の文献を読んで、遺伝型糖尿病かもしれないと思いたち、その後出会った専門医のおかげで遺伝子検査を受けることができ、ようやく自分の本当の病名が分かったというくだりです。

それまでに何と18年。悩み続けた日々が綴られていました。だからこそ、病名と治療法(*注2)が判明した時の感動もひとしおです。

自分のような患者を救うためにも、著者らは今、患者の会を立ち上げ、遺伝子による糖尿病の啓蒙や遺伝子検査に保険適用を求める運動を始めています。素晴らしいですね。

糖尿病患者や予備軍に役立つ最新情報が満載

本書には他にも糖尿病の患者全般に役立つ情報がたくさん掲載されています。

愚者(サイト主)が読んで特に良かったのは、ランセットやインスリン針の最新情報です。

愚者が使っているランセットは1.5型糖尿病です②(治療を開始しました)。で紹介した、LifeScanの「ワンタッチ ランセット」や1.5型糖尿病です⑦(転院しました)。で紹介したACCU-CHEKの「セミディスポ ランセット」です。どちらも針の太さは30G。本書ではもっと細い33Gのランセットが発売されている! と書いてありました。

細いほうが痛みが少ないので、早速、家の近所のかかりつけ医に相談して、仕入れてもらえるか尋ねたところ、次の診察時に、本に紹介されていた2種のうちの1種を仕入れてもらえました! メーカー紹介動画によると、ブレが少なく、音も静かだとか。

LifeScan Japanのワンタッチアクロ(採血用穿刺器具)。2015年から発売されていたらしい。
ワンタッチアクロランセット。針の細さは33G

で、使ってみた感触ですが……いままでの中で何と、一番良いです!

細い針だけあって、刺した痛みがとても軽い(音も静か)。そのくせちゃんと血が出ます。前は強く押し付けないと失敗することも多かったのですが、今回はそんな心配がありません。

そして、最も良い点は、うっかりボタンを押してしまっても、刺し直しができる!点です。

SNSで「ワンタッチアクロランセット」を検索したところ、そのようなことが書いてあるので、取説を読んだところ、ちゃんと書いてあったのです!!!

何てエコな良心的な商品なんでしょう。今33Gより太いランセットを使っている人はすべからく、この「ワンタッチアクロランセット」に変えてください!(笑) 血糖値測定のストレスがめっちゃ減ります。

また愚者のインスリン針(*注6)は、最初に診断された特定機能病院では、テルモの「ナノパスニードルII」(34G)でしたが、かかりつけ医ではノボ ノルディスク ファーマの「ペンニードルプラス」(32G)に変わってしまったところ、本書によると後者のほうが細い! と書いてあり、初めて2つの太さが違うことを知りました。こちらもかかりつけ医に相談したところ、処方箋の変更だけで済むので、即座に元に戻してくれました。言ってみるものですね。

前に読んだバーンスタイン医師の本では、繰り返し使えるタイプのインスリン針が紹介されていたので、愚者は「そのほうがエコなのに、日本では発売されてない」と不満だったのですが(*注3)、おだQ先生の本を読んで、ヒトの皮膚はとても硬いため、刺すたびに針の先端は曲がっていき、使いまわしすると、皮膚を余計に傷つける恐れがあることを知りました。

患者以外の人にも役立つ情報が掲載されていて、「定期的測定のすすめ」のページには「測定するだけで血糖コントロールが改善する」という研究が紹介されていて、糖尿病治療をまだ行っていない予備軍の人に向けてリーズナブルな価格で血糖値を測定する方法がオススメされています(*注4)。

他にも痛くないランセットやインスリン針の使い方、正しい測定の工夫(*注5)、インスリンの保存法、定期検診を続けるとガンの早期発見にもつながるなど、健康に役立つアドバイスがいっぱいです。

とにもかくにも、最新の日本の情報が読みやすい日本語で書いてありますしね。何年も糖尿病を患っていて糖尿病のことを良く知っている人も、糖尿病予備群でまだ通院したことがない人も、是非、一読することをオススメします。

18年かけて自分の症状の治療法を見つけた著者を見習って、愚者(サイト主)もSPIDDMについて今後も調べ続けていこうと決意を新たにしました(笑)。

注1

MODYについては「遺伝性疾患プラス」サイトに詳しい説明が載っています。
MODY(家族性若年糖尿病)
田中医師ら患者によるインタビューも。
MODY(家族性若年糖尿病)の正しい診断・治療を広げる、モノジェニックの会
おだQこと田中医師のブログはこちら。
糖尿病医の糖尿病日記

注2

MODY3には、1.5型糖尿病です④(リチャード・K・バーンスタイン本を読む)。の「Tokyo Studyが疑わしい」のところで書いた、バーンスタイン医師が使用について否定的であった、SU剤(スルホニル尿素系血糖降下薬)が効果的なのだそうだ。てっきり時代遅れの薬かと思ってしまいましたが、とんでもない間違いでした!

注3

ネット通販でインスリン針が買えないか、イギリスの糖尿病患者の掲示板で聞いてみたりしました。バーンスタイン医師の本は世界中で有名で、「何ページのこの針なんですけど……」と尋ねると、早速「これじゃない?」とアマゾンのURLを教えてくれました。在庫切れで販売終了していましたが、おだQ先生が言うように、何度も使うと針が曲がってしまい、刺すと痛いというのも不評の一因だったのかもしれませんね。

注4

血糖値を測るために必要なのが測定器やセンサー。日本では注射をしていない糖尿病患者以外には保険が効かないそうです。自費で買うと測定器は1万円程度、センサーは1回あたり100円。センサーは許可を得た薬局でしか買えません。2022年2月から「Librelink」というスマホアプリが使用可になったので、糖尿病予備群の人なら、FreeStyleリブレのセンサーを購入するほうがお得なのだそうです(8000円程度)。以前、“>血糖値スパイクを抑えてダイエットに成功した漫画家さんの本を読んで、愚者も「FreeStyleリブレリーダーがほしい!」と思ったのですが、治療に必要じゃないと普通には買えないことを知り、ガッカリしたものです。本書を読んで「今はずいぶん良くなったなあ」と思いました。

本書にはリブレセンサーでかぶれないためのテープテクニックも紹介されています。

注5

特に測定前の手洗いによる測定データの変化は参考になりました。アルコール綿で拭くよりも手洗いが大事と分かる。温めたほうがいいので、冬はお湯で洗うといいですね。時々、十分絞り出したのに、テスターにスッと吸い込まれない時がありますが、そういう時は血糖値が異様に高く出ることが多いです。手を洗って測り直すといつも通りだったりするので。絞り出すのはリズミカルに絞るほうが、ギューっと絞り続けるより良いと書いてありましたがその通りでした。

注6

最近、おだQ先生のSNSで新しいインスリン針「アキュファイン」(ロシュDCジャパン)が紹介されていました。テルモの「ナノパスニードルII」(34G)と同じ太さですが、長さが0.5mm短くなっています。「日本人向けに使い勝手や痛みの低減に配慮」とあるので、痛みが少ないらしいです。2022年11月から発売されていたのですね。新商品は自分からかかりつけ医に相談しないと仕入れてもらえないので、使っている人の評判が良いようなら、こちらも聞いてみようかと思います。

34G (0.18mm) × 3.5mm
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