ワクチン開発には「確かに安全であり、予防効果がある」ということを数千人レベルで確認する第三相試験が必要です。ところがコロナワクチンの場合、日本国内の臨床試験の母数は、ワクチン接種群でわずか119人、プラシボー群はさらに少ない41人でした。
PMDAワクチン等審査部は2020年9月2日、文書を出し、「海外で第三相試験が実施されていれば、国内では日本人における免疫原性及び安全性を確認する国内臨床試験(第一、第二相試験)で十分」としています。
2000年代の初めのころまで日本は新薬の承認審査に時間がかかり、海外で使われている医薬品が国内で未承認状態の「ドラッグ・ラグ」が問題視され、多くの患者が海外から高額の未承認薬を取り寄せていました。
そこに日本の市場開放、規制緩和を求める米国政府が圧力を加えました。米国は2011年の「日米経済調和対話」で「新薬創出加算(*注2)を恒久化し、ドラッグ・ラグ解消を促進し、研究開発への誘因を強化せよ」と圧力を掛けてきたのです。「海外の治験データを流用し、PMDAは製薬会社と連携して承認審査を行え」と。
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厚労省は海外で先行したワクチンの第三相試験の国内実施を免除する一方、国産ワクチン開発には従来どおりの第三相試験を求めました。後発の開発者がプラシボーを被験者に打って新型コロナに感染させるのは許されるのか? という倫理的問題もあり、国産開発は挫折しました。
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結果、利用できるワクチンが欧米から20年遅れになる「ワクチン・ギャップ」(WHOが推奨するワクチンが、国内では公的な定期接種に組み込まれず、国際的水準に届いていない状態)が生じてしまいました。
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