訳者注
この作品は2001年2月07日現在の作者のサイト、http://www.angelfire.com/sk2/mirrorgirl/wednesday.htmに掲載されていた原文をもとにしています。もし作者の原文に直しが入るなどして、この作品と原文との間に差異が生じたことにお気づきになった方は、お手数ですが、訳者までご一報いただけると助かります。よろしくお願いします。
Jane's comment
ジェーンからの一言
Takes place sometime between "The Motion Picture" and "The Wrath of Khan."

これは『ザ・モーション・ピクチャー』(注:1979年の映画版第1作。邦題『スター・トレック』。冒頭でカークとスポックが老いについて語らう場面がある)と『カーンの逆襲』(注:1982年の映画版第2作。邦題『スター・トレックII/カーンの逆襲』初代スタートレック・テレビシリーズの続編にあたる)の中間にあたるお話です。

Series
元になるドラマ
Rating
レイティング
Codes
内容規定(この作品が投稿されたASCEMというMLにおける投稿の際に明記すべき規定。ここでは主にカップリングが指定されている。規定の範囲は広く、同性愛・レイプの有無を記載する団体もある)
TOS

初代スタートレック(The Original Series)

NC-17

17歳以下禁止(かつての「X指定」と同等。No One 17 And Under Admitted)

K/S

カーク/スポック

Summary
あらすじ
When you see someone you love, you see them as they are, but you also see them as they were, and as you want them to be.

愛する人を眺める時、目に映るのは見たままの今の姿であろう。だが、同時に人は自分の記憶の中にある、愛する者の姿を見出すし、また、そうであってほしいと願う姿を見出すものである。

Disclaimer
免責事項
If it were mine, I wouldn't have to deal with my student loans. Seriously, all things Trek belong to Paramount/Viacom. The story, such as it is, is mine. There was no money involved at any stage of this story's creation or distribution, so I'll thank you not to make any either.

もしその著作権が私のものなら、(なにもわざわざ私が)学生ローンを組む必要なんかないでしょう。冗談はさておき、スタートレックに関するすべての権利はパラマウント/Viacom社(注:テレビ、映画会社を所有する巨大企業。最近CBSごとパラマウントを買収した)に帰属します。大それた作品ではありませんが(such as it is (they are)=お粗末なものですが)、この話そのもの著作権は、私に帰属します。この物語を創作または配布するあらゆる過程において、お金は一切絡んではおりません。というわけで、お読みになられる方もこれで一銭も儲けないでくださいね。

著者
覚え書き
This story contains m/m sex, the explicit variety. If that bugs you, well, you'll probably end up shelling out a lot of money to a psychiatrist someday, but that's not really my business. In the meantime, go read something else. If, on the other hand, if you happen to be under the magical age of 18/21, please wait to read this until you become legal. Not only will that keep me out of trouble, but it'll give you something to look forward to.

この物語には男性同士のセックス及びあからさまな行為の数々が描かれています。それがあなたをイライラさせるのであれば、そうですね、ひょっとすると、将来、多額のお金を精神科医に払う(shell out=必要なだけの金を払う)はめになるかもしれません。ですが、その件については一切、私の関知するところではありません。そうなる前に(In the meantime=その間に)、余所へ行って他の作品をお読みください。もしイライラはしないけれど(If,=If that doesn't bug you)、一方では、たまたまあなたが18あるは21歳(注:カナダ、アメリカでは18歳以上が成人の州と21歳以上の州がある)の微妙な年齢以下である場合は、合法的な年齢に達するまで、どうかこの作品を読むのを、お待ちください。そうしていただくことは、私をトラブルに巻き込まないようにするだけでなく、あなたにとっても楽しみを後にとっておくことにもなるでしょう。

This takes place sometime prior to TWOK, but not too much prior, 'cause the boys herein aren't as young as they used to be (though they aren't as old as they're going to be). About all you need to know is that they're past the five-year mission, but that's not keeping them off the Enterprise -- except for this story, but this is shore leave.

この物語は『The Wrath of Khan』よりも前の話ですが、ずっと前というわけではありません。というのは、この中に登場する少年(の心を持った中年)たちは、お馴染みのドラマに出ている年齢ほど若くはないからです(かといって彼らがいつかはそうなるのだろうと危惧されるほど、老けているというわけでもありませんが)。頭に入れておいていただきたいのは、彼らが過去5年間、任務を遂行したということ--この物語のような上陸休暇を除いては--その間エンタープライズ号にずっと乗船していたということだけです。

  Title stolen with the utmost respect from Simon & Garfunkle. Damn but I love that song, not that it has a thing to do with this story.

タイトルは最大級の敬意と共に「サイモン&ガーファンクル」(注:『WEDNESDAY MORNING,3AM』、邦題『水曜の朝、午前3時』は1964年に発売された、サウンド・オブ・サイレンスなどを含むS&Gのデビュー・アルバム。「Wednesday Morning, 3 A.M.」は最後、12曲目に収録されており、複雑なハーモニーを組み合わせた曲である。売れ行きはあまり良くなく、このアルバムのみミリオンセラーにならなかった)から拝借させていただきました。困ったことですが、私はこの曲が大好きでなんです。だからといって、タイトル以外、この物語と何の関係もないのですが(Not that=〜といって……というわけではないが)。

Feedback is the sort of thing that keeps me from giving up all my literary ambitions and going into accounting. I can be reached at 3jane@chickmail.com, should you wish to encourage me (hint, hint).

お便りは私が文学的な野望を諦めて会計仕事などのまともな正業に就こうとするのを思いとどまらせくれます。私宛てのお便りは3jane@chickmail.comへ送っていただければ届きます。万一あなたが私を励ましてくれるおつもりならば(とほのめかしておきます)(注:Should...=条件節のif省略による倒置)(注:hint=ここまで言えば私お便りがたくさんほしいって分かりますよねという意味)。


Wednesday Morning, 3am
水曜の朝、午前3時

by Jane St Clair
著者 ジェーン・セント・クレア

He woke at two in the morning to find it raining. His windows were open, and the fan blew softly across his bed, but the heat had broken and he was shivering.
夜中の2時に目覚めると、外は雨が降っていた。窓は開け放たれ、扇風機がベッド越しに穏やかな風を送っていた。だが暑さのほうはすっかり収まってしまい、今や寒さで体が震えるほどであった。

It had been hot for days -- when he'd beamed down, his first action had been to strip off his coat, and then his shirt, so that he'd walked across the farm's yard in uniform pants and singlet, burningly aware of the dark eyes focussed on the suddenly visible muscles of his back.
熱い1日だった--転送された時、カークが真っ先に取った行動は、着ていた外套を脱ぐことだった。ついでにシャツも脱いでしまっために、カークは制服のズボンにアンダーシャツだけという妙な恰好で農場内(注:カークの実家がアイオワの農家というのはTVドラマ「スタートレック」の実際の設定でもある)を歩き回らなければならなかった。突然露になった背中の筋肉を、じっと見つめる漆黒の瞳の存在を強烈に感じながら。

The first night, he'd paced and shifted, unable to sleep. He couldn't remember when he'd been so hot. The Enterprise's climate control dropped the temperature sharply during ship's night, so that he was always ready to bury himself under layers of bedding and sleep like that, nested.
第1日目の晩、なかなか寝付けないカークはあちこちをうろつき回ったり、ベットで寝返りを打ったりしていた。自分の体がこれほど火照っていたのがいつからなのか、もうカークには思い出すこともできなかった。エンタープライズ号では気候調節機構のおかげで船内就寝時間になれば急速に温度は下がった。そのためカークはいつでもベッドの敷布の間に身を潜らすことができたし、くるまる(nested=入れ子になった)ように眠ることもできた。

Six months before, he'd been on Vulcan, but the dryness of the air had undercut the heat so much that more often than not he was off-balance and almost shivering. And in the Vulcan night, the temperature would fall so far that he needed blankets and a searingly warm body to wrap his own around.
6か月前、カークはバルカン星に赴いた。が、乾いた大気のおかげでそれほど暑いと感じることはなく、大抵の場合(more often than not=通例)体調を崩し、ほとんどブルブル震えてばかりいた。そして、バルカンの夜は、猛烈に気温が下がるため、毛布が手離せず、自分の身体を抱きしめてくれる焼け付くように熱い(注:searinglyには「官能的に」という意味合いもある)身体が必要だった。

A bedmate was something he hadn't had in weeks. Spock had beamed down with him, quietly accepting the offer of a home during shore leave, but settled himself in the guest room without consulting Kirk on the matter. Maybe twice in their ten days on Earth so far, Spock had come with him on his walks.
ここ数週間というもの、カークは、ベッドを共にしてくれる相手には事欠いていた。スポックはカークと共に転送され、上陸休暇期間中、カークの実家に泊まったらどうかという申し出を黙って承諾してくれた。が、スポックはカークに相談することもなく、客間に引きこもってしまったのだ。恐らくは地球滞在期間である10日の内、スポックがカークの散歩に付き合ってくれたのは、せいぜい2回がいいところであった。

Kirk was surprised how much it comforted him. The Vulcan was always a low, steady presence in the back of his mind, but his physical proximity made the connection vivid.
一緒に散歩することがどんなに自分を安堵させてくれるものなのかを知らされて、カークは改めて驚いた。このバルカンの男は常に目立つことなく、それでいて確実にカークの心の隅に存在し続けてきたものの、現実に本人が側にいてくれることは、2人の絆をより強固なものにしてくれるのだった。

He'd lived in Iowa since childhood, and only the alienness of Spock's experiences could make the place immediate for him again. He'd been content to walk with his eyes almost closed, feeling Spock's
カークは幼い頃からアイオワに住んでいた。なので、異星人であるスポックの心象風景に触れたカークは、改めてこの見慣れた故郷に新鮮な感慨を抱いた。目など閉じてしまえとばかりに、空想に耽りながら歩くうちに、カークの心は満たされていった。スポックが今、何を……

//alien wetness searing green blue sky air like a living body air like something breathing all these layers of humidity that have to be pushed aside like curtains small insects deep gold colour of Jim's hair his eyes like the grass drying sudden birds trees houses in the distance things living home t'hy'la the liquidness of you//
//(注:以下カークが想像した、スポックの心象風景)異星の、多湿で、目にしみるような青緑の空、まるで生き物のような大気、呼吸しているかのような大気、とっ払ってしまいたいカーテンのように覆い重なる湿気、小さな虫、ジムの濃い金色の髪、干し草のようなその瞳、突然鳥が、木立が、家並みが、遠くのほうに見える。住処を持つ(=属する家族と家庭を有する)生き物たちよ、心の友よ(注:t'hy'la=バルカン語。かけがえのないパートナーとなったカークをスポックが呼ぶ時に使う言葉。ロッデンベリ−が書いた小説版『ザ・モーション・ピクチャー』の中で、「カークはスポックをt'hy'laと見なしている」という記述がある。小説版の後書きには「t'hy'laはバルカン語でfriend, brother, or loverのこと」と記されている)。あなたのしなやかさよ(注:このliquidnessについては「瑞々しい」と解釈する人が2人、「流れるようなしなやかさ」と解釈する人が2人いた)//

thoughts. They'd been lovers for so long they forgot to touch for days sometimes. Never this long before, but Spock was touching on something that Kirk didn't have words for, and he had to breathe deeply, hope for patience and wait.
考えているかを感じて。2人はあまりに長い間愛し合う関係にあったために、触れ合うことを忘れているうちに何日か過ぎるということも時にはあった。これほど長い間何もしないでいることは初めてだったが、カークにも何と表現したらいいのか分からないような、どこかよそよそしい雰囲気をスポックは醸し出していた(touch a nerve:勘に障るのtouch)。なのでカークは深い溜息をつき、スポックの方から行動を起こしてくれることを辛抱強く待ち望んだ。

The thunderstorm had woken him. Sound came in through the windows and drove him up out of sleep so violently that Kirk started to his knees, hyperventilating. The next thunder strike was farther away, less startling, but he was fully conscious by that time and conscious that he was cold.
雷を伴う嵐がカークを眠りから醒めた。窓越しでも聞こえるほどの雷鳴に無理矢理叩き起こされ、過呼吸に陥ったカークは、咄嗟に膝を付いて起き上がろうとした。後続の雷はそれほど近くもなく、さほど驚くほどでもなかったが、その頃にはもうカークの頭はすっかり冴えてしまい、寒さが気になって仕方がなくなっていた。

He shook himself to get rid of the last of his fear and got out of bed, padded over to the big closet and dug in it in the dark until he found a blanket. The first night, he'd stripped the bed in his room as well as setting up the fan.
いまだに自分の中に残る不安感を振り払おうと武者震いするとカークは、ベッドから起き出した。大きなクローゼットのところへと、暗闇の中をすり足で近付くと、中を引っかき回し、やっとのことで毛布を掘り当てた。最初の夜、扇風機を設置した際に、自室のベッドからひっぺがしておいたのだ。

Now he was only too grateful for the patchwork sensation of the quilt under his fingers. Wrapping it around his shoulders, he found his jeans, still in the dark, and pulled them on.
今となっては、自分の指に触れてくる、そのパッチワーク・キルトの感触にただただ感謝したい気分だった。毛布を肩に引っ掛けると、カークはそこに自分のジーンズがあるのを発見し、明かりも付けずに、それを履いてみることにした。

The house had been his alone for almost five years. His mother had died, not suddenly, and certainly not unexpectedly. She'd been of an age for it, and he hadn't been able to begrudge her that peace, though he'd cried for her more than once and still felt her absence.
ほぼまるまる5年間、カークはこの家に一人で(=家族の死後)暮らしていた。母親は既に他界していた。その死は突然のことではなく、また、けっして予期せぬものでもなかった。母親はそれ相応の年齢だったし、母親が安らかな世界に旅立つのをカークが引き留める権利もなかった。それでもカークは母親を忍んで何度も涙に暮れ、未だに母親を失った悲しみを引きずっていた。

In his mind, the Iowa house was hers even more than simply his family home. Peter (Sam's son, Sam who was dead, who wasn't something Kirk wanted to think about) hadn't visited it since he'd grown out of being a child and become a young man with a life of his own.
カークの心の中では、アイオワの家は今でも母親のものであり、それは単なるわが家以上のものがあった。ピーター(サムの息子だが、そのサムも亡くなってしまった。サムの死に関してカークにはあまり思い出したくないものがあったが)(注:第一シーズン第29話「OPERATION ANNIHILATE!」、日本放映では第28話「デネバ星の怪奇生物」のエピソードで、カークの兄であり生物学者ジョージ・サムエル・カークは調査するために赴いた星で妻とともに寄生生物に襲われて亡くなり、ピーターだけが助かった。この寄生生物は強い光を照射すると死滅するが、自らの身体を使ってそれを証明したスポックが失明し、一生カークの姿を見られなくなるかもしれないというくだりもあり、この作品にとっては非常に象徴的なエピソードである)も、もう子どもではなくなり、自分なりの生活を営む青年となってしまってからは、もはやカークがここに戻って来ることもなかったのだ。

Kirk hadn't had shore leave on Earth since the funeral until this trip, and he'd had to think about it long and hard before he'd decided to come home.
母の葬式以来、カークが地球への上陸休暇を取るのは、この旅行が初めてだった。実家に帰る決心がつくまで、カークは長い間悩み、苦しんだ。

He'd been relieved that Spock had agreed to come with him. They hadn't fought, but there had been a silence growing between them that even late night psychic caresses weren't bandaging. He was damned if he knew what he'd done wrong.
スポックが同行を承諾してくれたので、カークはホッとしていた。お互いケンカしているわけではなかったものの、2人でいながら黙り込んでしまうことが増え、昨夜などは安らぎを与えてくれる魂の交流(注:psychic caresses=離れていてもテレパシーで愛情を交わしあうこと)すらカークには与えられなかった。一体、自分がどんな悪いことをしたっていうのだ? カークは悪態をついた。

In any other relationship, he might have pushed, but there wasn't any sense of disturbance, only distance. Not anger, he thought. Just stillness. And his own growing restlessness as he missed his lover.
スポック以外とそういう関係に陥ったのならば、カークは構わず障害を克服したであろう。だが今回の場合はいかなる心理的な諍いがあるというわけでもなく、単にお互いがよそよそしいだけなのであった。これは怒りの感情ではないなとカークは判断した。ただひたすらだんまりを決め込まれているだけだった。そして、恋しい男に触れたいと思うにつれて、カークの不安は募っていった。

He'd grown up in this house, and he could find his way in it well enough without the benefit of illumination. For some reason, he was as reluctant to turn the lights on as he was to forcibly break the silence between Spock and himself.
カークはこの家で育った。だから明かりの助けがなくても、行き来に不自由することはなかった。が、なんとなくカークは今、スポックとの間の沈黙を無理矢理破ることに気が進まないのと同様、電気をつけたいという気分にはなれなかった。

He paused on the stairs for a second, getting a sense of the house in the dark. Most of the furniture was in storage to keep it from being damaged, and what was left gave the house a cabin feeling of improvisation and unfinishedness.
カークは階段のところでしばらく佇んでいた。真っ暗な家の中にいるという感覚に浸りながら。ほとんどの家具は痛まないよう倉庫に仕舞われていて、その残骸がこの家の雰囲気を急ごしらえの仮設住宅にいるかのような印象に変えていた。

The wooden stairs slanted downward a little. At the base of them, he caught a glimpse of himself in the mirror by the door, a middle-aged man wrapped in a quilt and a pair of jeans, barefoot in the empty house.
木の床は少し沈んでいた。その最も沈んだ地点から、カークはドアの側の鏡に映った自分の姿を捉えた。そこにはキルトにくるまり、ジーンズを履き、裸足のまま殺風景な家に佇んでいる中年男の姿があった。 

Out of the corner of his eye, he caught the next lightning flash, counted the seconds until thunder hit. Coffee, he thought. He could make coffee, watch the storm through the porch screens. No one would miss him if he wanted to sleep on the porch swing instead of in bed.
視界の隅に、再び稲妻が光るのが映った。カウントを唱えると、雷音が轟いた。するとコーヒーのことが頭に閃いた。コーヒーが入れられるじゃないか、そしてポーチの網戸越しに嵐でも眺めようと……。ベッドではなくポーチの揺り椅子で眠りたいとカークが思ったところで、いまさら誰が淋しがるというのだ。

The kitchen was a dozen steps away. Once, he brushed the doorframe with his hip and blushed a little at his own clumsiness on his home ground. To reassure himself, he kept moving in the dark, finding a mug and the coffee filter, filling the old-fashioned steam kettle from the kitchen tap.
十数歩歩いたところに台所はあった。一度だけだが、カークの尻がドア枠を掠ってしまい、勝手知ったるわが家でドジを踏んでしまったバツの悪さ(clumsiness=不格好、不器用)にカークの顔がにわかに赤らんだ。自信を回復すべくカークは暗い中を盛んに動き回り、マグカップとコーヒーフィルターを見付け、台所の蛇口から旧式の蒸気式ケトルに水を注いだ。

Drops of water on the kettle's sides hissed as they touched the burner. His parents had never added food synthesizers to the kitchen appliances, and by his teen years he'd considered cooking to be a vaguely mediational activity.
溢れ出たお湯がケトルを伝わってバーナーにこぼれ落ちるたびにシューッという音を立てた。カークの両親は台所用品に自動調理器など不必要だという考えだったので、カークは彼が10代の若者になる頃には、料理をすることは、ボーっと考え事をするのによい気晴らしになると思えるようになっていた。 

It was the sound of breathing that finally alerted him. He twisted from the waist and made out Spock seated at the kitchen table, watching him. Startled, he spilled the tablespoon of ground coffee onto the counter. The smell was as much of a shock to him as the sudden presence, and it was that that made him jump.
息遣いの音でようやくカークは気が付いた。上半身だけ後ろに捻ると、キッチンテーブルの向こうにスポックが座っているのを発見した。カークを見つめながら……。驚いたカークは粉コーヒー用のテーブルスプーンをカウンターの上に落としてしまった。突然現れた衝撃もさることながら不意に立ち上ったコーヒーの薫りにも意表を突かれて、カークは飛び上がらんばかりに驚いてしまった。

"Jesus, Spock!" He cupped a hand under the counter ledge and brushed the loose coffee into it, lifted the hand to his nose to smell the mess before throwing it away. A second later, he realized he must have brushed the quilt through it, because he could still smell dry coffee close to his face. "You move like a cat, you know that? You're going to be the death of me."
「何だ、スポックじゃないか!」
カークはカウンターの桟の下に手を据えると、散らかったコーヒー粉を掃き入れ、鼻先に掲げ、こぼれた粉(mess=こぼした汚物)の薫りを嗅いでみてから、投げ捨てた。が、すぐさま、カークは(肩から巻き付けていた)キルトに手が掠ってしまった失態に気付いた。というのも顔の回りには未だにコーヒーの粉の薫りが漂っていたからだ。
「まるで君は猫みたいに歩くんだな、って猫を知ってるか? もう少しで心臓が止まるかと思ったよ」

"I apologize, Jim. I was under the impression that you knew I was here."
「申し訳ない、ジム。私がここにいるのをご存知だとばかり思っていたものですから」

Kirk snorted. "It wouldn't hurt to announce yourself when you came in."
カークはフンと鼻を鳴らして言った。
「来たなら来たと、そう言ってくれればいいだろう(not hurt=損はない)」  

"I was seated here when you entered." A raised eyebrow, his lover's equivalent of laughter. He could feel the amusement tugging at his thoughts across the bond.
「あなたが入ってきた時にはもう、私はここに座っていましたよ」
そう言うとピクリと眉をつり上げたが、カークが心から愛する男にとってそれは、笑うのにも等しい行為だった。長年培ってきた2人の絆のせいで、そんな風に考えてしまうカークをスポックが楽しんでいるのをカークは察した。

Oh. "I think I need that coffee." The kettle whistled and he lifted it. The water running through the filter made a soft nose that was almost drowned out by the rain.
ああ、そうだ。
「コーヒーを入れないとな」
ケトルがヒューッと汽笛を鳴らし、カークはケトルをコンロから下ろした。熱湯がフィルターを通っていく度に微かな音を立てたが、そのほとんどは雨音にかき消された。

He repeated the process, waited for the water to drain, and moved the filter to the sink without looking back at his lover, then poured out two cups and handed one to Spock. The Vulcan accepted it ceremoniously, though Kirk knew he seldom actually drank the stuff.
カークはその行程を繰り返し、お湯が流れ落ちるのを待った。その間、愛する男のほうに振り向くこともなく、フィルターを流しに捨てると、2つのカップに注ぎ入れ、そのうち一つをスポックに手渡した。バルカン人の男は恭しくそれを受け取った。実際にはスポックが滅多にそういった類のものを口にしないことをカーク自身も承知しているとはいえ。

In the decade they'd known each other, he'd watched Spock develop an aesthetic appreciation for Kirk's addiction, inhaling the fumes and tasting it softly, though rarely drinking an entire cup.
この10年の間に、2人はお互いのことを十分知り尽くしていた。薫りを吸い込み、そっと味わうが、かといって全部飲み干してしまうことなど、めったにないといったカークのコーヒーへの耽溺ぶりに対してスポックがそれを我がことのように楽しむ技を培うのを(注:画家でなくても芸術品を鑑賞するセンスが持てるように、コーヒーを好きではなくてもコーヒーを美味しそうに飲むカークを楽しむ術を身につけたということ)カークはずっと見守り続けてきた。

Spock followed him onto the porch. The space was screened against the insects that whistled around the house at other times, and roofed against the rain.
スポックはカークの後に従い、ポーチへと赴いた。そこは、晴れた日には家の回りをブンブン音を立ててまとわりついてくる虫を避けるための網戸で仕切られ、雨避けの屋根が付いていた。

Kirk would have liked Spock's body curled against his on the porch swing, but the Vulcan settled himself in one of the wicker chairs set against the house's wall and only watched Kirk inquisitively.
ポーチの揺り椅子に腰掛けたカークは、自分の躯の上にスポックの躯が絡み付いてくれたらと願っていたのだろうが、当のバルカン人の男は壁際に置かれていた籐製の椅子の一脚に腰を据えてしまい、詮索でもするかのようにただカークのことを見つめているだけだった。

He hated this silence. He'd become awkward in the presence of the man who owned the largest part of his soul. Spock was preternaturally still, a slender body in dark clothes that were neither formal nor in any real way of Earth. God, he wanted that body against him. He wasn't adequately dressed, really, and he would have loved the other man's heat close to his own.
こんな風に黙っている状態にカークは辟易した。自分の魂のかなりの部分を占めているこの男を前にして、カークは居たたまれなくなってしまった。不思議なくらいスポックは身動き一つせず、その痩せた躯を、よそいきというわけでもなく、地球上に実在するいかなる生物とも違う(つまり異星人)ことを示すような、灰色の服装に包んでいた。ああ、どんなにかカークはその躯にぴったりと身を寄せたかったことであろう。カークの今の恰好はあまり適切であるとは言い難かった。実際のところ本当に。それゆえカークはどんなにかもう一人の男の体温を間近に感じたかったことだろう。

"You know what I'd really like? A cigarette." It was a strange thought. He hadn't smoked in years, certainly not since joining Starfleet, and only once or twice before that. In spite of that, it was a real want, not quiet a craving, but he would have liked to taste the small fire in his mouth and have the smoke spike through his lungs.
「私が今何をしたくてたまらないか教えてやろうか? ……タバコでも吸いたい気分なのさ」
思いつきにしては妙だった。カークはもう何年も喫煙していなかったし、艦隊勤務に就いてからはきっぱりと断っていたからだ。おまけにその前にしてもたった1回か2回くらいしか嗜んでいなかったはずなのだ。にもかかわらず、そうしたいという衝動は偽りのないものだったし、禁断症状のせいでも決して無いのだが(quiet=>quiteのミススペル)、今のカークは口元に灯る仄かな種火を楽しみたい気分だったし、肺の中を煙りの刺激(spike=強い刺激・アルコールや麻薬)で満たしてみたい気分だったのだ。

"I do not have to tell you how illogical that is." More Vulcan almost-laughter. "The obvious hazard to your health should deter you even if the semi-legal status of Terran tobacco within the Federation did not give you pause."
「それがどんなに無分別な行為であるかを、今さらあなたに指摘する必要もないでしょう」
前にも増してバルカンの男はほとんど吹き出しそうであった(注:喫煙という不健康な行動をしたがることがスポックにとっては非論理的だから)。
「あなたの健康にとって明らかに危険なことは控えるべきです。たとえ連邦内では半合法的に認められている地球産のタバコがあなたを思いとどまらせる(give pause to a person=人に再考を促す)ことがなくても」

It was as many words as Spock had said to him at one time since the beginning of their shore leave. He wanted suddenly to demand that Spock talk to him. But what could he say? There wasn't any anger between them, not even any real tenseness. It was only, again,
今まで上陸休暇中に話したセリフ量に匹敵するほど、スポックは一気に喋った。突然、カークはスポックに自分に話し掛けるよう要求したくなった。だが何を話したらいいのだろう? 2人の間にはこれといった怒りの感情があるわけでもないし、緊張すら実際にはしていなかったのだ。そして、その後に訪れたのは、またもや……

//where are you beloved why can I feel you but not touch you I haven't had you in my bed in weeks I want you I want to taste you I want your mouth on mine, your hot tongue and the smoke of your coffee against my teeth I want you I want you I want you to talk to me//
//愛する君はどこにいるのだ? 君に触れもせずにどうして君を感じられるというのか? この数週間私は君とベッドを共にしていない 君が欲しい 君の感触を味わいたい 私の唇に君の唇が触れ 私の歯に当たる君のその熱い舌と君のコーヒーの(タバコの煙にに似た)薫りが恋しい 君が欲しい 君が欲しい 君の声が聞きたい//

silence. He was only tired of waiting for Spock to find the words he was looking for.
……沈黙だけだった。カークはほとほと待ちくたびれてしまったのだ。自分が待ち受けている(look for=期待する)言葉を、スポックが言い当ててくれるのを(注:年を取っても以前のように自分を熱烈に、タバコの火のように、愛してくれるかどうかの再確認したいというのがこの作品全体のテーマでもある)。

What he said was, "I miss you."
そんなカークが発した言葉は、たった一言……
「君が恋しかった……」
だけだった。

Spock watched him, dark eyes sharp over the rim of his mug. Kirk had drawn his feet up onto the swing cushion so that he was almost totally wrapped in the quilt. His own coffee was warming both his hands, and he was reluctant to give up even a little of that warmth by drinking it.
スポックはカークを見つめた。手にしているマグカップの縁越しに、その鋭い黒い瞳で。足を引き上げ、揺り椅子のクッションの上に載せるとカークは、全身がすっぽりとキルトに収まった。カークは両手をコーヒーで温め、そしてそのささやかな温もりでさえ、飲み干すことによって失ってしまうのを惜しんでグズグズしていた。

He wasn't angry enough for a battle of wills, but he suddenly wanted to challenge Spock's silence with his own. It was enough to keep him from saying anything as his lover set his cup down on the adjoining chair and stood, walked around Kirk and studied him in the half-light that the electrical flashes made.
カークは意地の張り合いをするほど腹を立てているわけではなかったが、突然スポックの沈黙に自分も沈黙することで応戦したくなった。そして、それはスポックを黙らせるのに十分であった。その結果、カークの恋人は自分のカップを直ぐ隣の椅子に置き、立ち上がると、カークの回りを歩き回り、稲光による薄明かりの中で、しげしげとカークを観察した。

Behind him, out of a mouth level with the back of Kirk's neck, Spock said, "I have been thinking that you and I have been lovers for eight years, and bondmates for five. In spite of that, I frequently am at a loss for how to approach you. When I see you, I can see you as you have been. As you were on Epsilon Hydra, reading in the Terran restaurant you found. As you looked while ice-climbing on Tellar. As you have been several hundred times in the recreation rooms of the Enterprise, in conversation with Lt. Sulu on the subject of Middle Kingdom poetry. I find myself wishing that I had studied the literary arts while I was a child, so that I might record you like this."
カークの背後に立ち、その口元が、カークの首の後ろとに来るよう(level〜 with…=〜を…と同じ高さにする)屈み込むと、スポックはこう囁いた。
「この8年間、私はあなたと私が愛し合う関係であり、そして、この5年の間は魂で結ばれた同志(=精神的な絆で結ばれた生涯のパートナー)であったことを振り返っていました(思い出していました)。にもかかわらず、私はしばしば、あなたとどう接したらいいのか分からなくなってしまうことがあるのです。あなたを見ていると、いままでのあなたがどんな風だったかを思い出してしまうために(注:カークには色々な面があって、スポックはそのすべての面を愛しているのだが、随分長い間カークと付き合ってきたために、記憶している様々なカークのうち、どれが本当のカークなのか分からず混乱して)。それはエプシロン・ヒドラ星団であなたが見付けた地球食レストランで読書をしているあなただったり、テラー星の氷山を登山しているあなただったり(注:エプシロン・ヒドラ星団、テラー星ともにDS9に登場エピソードがあるがカークらが行ったというのは作者の創造だそうだ)、そして何百回となくエンタープライズ号の娯楽室にいて、スールー少尉(注:日本名:加藤。エンタープライズの主任ナビゲーター&兵器部門担当士官)と古代王朝時代の(多分古代中国の)詩の話題などを語り合っているあなたであることもあります。そんな時私は、子どもの頃に文学という芸術をもっとよく勉強しておくべきだったと痛感したものです。そうすればそんなあなたをもっとしっかり自分の記憶に留めておくことができただろうにと……」

Softly, "Spock."
カークはそっと答えた。
「スポック……」と。

"I have never told you this, but there are times when I love you so much that I am sure, in spite of logic, that my heart has stopped."
「こんなことをあなたにお話したことはありませんでした。でも私にはたびたびそういう時があるのです。あまりにあなたを愛するあまり、理屈に反しているのですが、私の心臓はきっと止まってしまうと、自分でもそう思える時が……」(注:だから数週間前からスポックはカークと距離を置いていた) 

He didn't have any answer for that. He'd felt the sensation of it run across the link thousands of times, but his lover had never spoken so blatantly of emotion. Spock was kneeling behind him, face level with his neck. Kirk could feel the other man's small movements as the dark head dipped forward and he was kissed at the base of his skull.
カークはそれに対して何も答えなかった。その手の感覚が二人の絆を通して幾たびも繰り返し伝わってくるのをカークは以前から感じていた。が、カークが愛した男はその手の感情を声高に口にするような男では決してなかった。自分の顔がカークの首の高さに来るよう、スポックはカークの背後にひざまずいた。そのため、カークはもう一人の男の微妙な動きを感じ取った。その黒髪の頭が自分の方へと押し付けられ、うなじに男の唇が降りてくるのを……。

"Spock." Just a breath, this time.
「スポック……」
ただ息をするのがやっとだった……もうこの時には。

Spock came around almost without rising and knelt beside the porch swing. Kirk was only vaguely aware that it was still raining; the thunder was still a sound like steady, low breathing, but it was more and more distant.
ほとんど立ち上がることなく、前へと回り込むとスポックは、ポーチの揺り椅子の脇にひざまずいた。カークはただぼんやりと未だに雨が降り続けていることを意識した。雷鳴は依然として微かで着実な息づかいのように鳴り続けてはいたが、それも次第に遠ざかりつつあった。

//love you//
//愛しています//
(注:スポックのカークへのテレパシー)

The dark body leaned in and he pulled Spock hard against him. God, he hadn't had that contact in so long. It flared across their connection, drew Spock closer to him, even, so that they were pressed together along the length of Kirk's side, all of him held against Spock's abdomen and chest.
灰色の身体(注:darkな服を着ていたスポックのこと)がのしかかる重みを感じたカークは、スポックを思いきり引き寄せた。ああ、どんなに長い間カークは、こんな風に触れ合う機会を失っていたことだろう。肉体の触れ合いは2人の精神的な絆をより強固なものにし、その絆がスポックをより一層身近な存在に感じさせ、横向きのカークの上半身がスポックの腹部と胸にすっぽり収まってしまうかのように、2人は身を寄せ合った。

Just against his hip, Spock's heart was beating. He shifted, pulled his lover on top of him and kissed him hard.
ちょうどカークの腰の辺りでスポックの心臓が脈打っていた(注:バルカン人の心臓は人間の肝臓の辺りにある)。カークは身体をずらし、愛しい男と向かい合わせになるように抱き上げると、その唇を激しく求めた。

Instant give, Spock's mouth on his, deep, deep, they hadn't kissed this deeply in as long as he could remember. Spock's knees on either side of his hips were a guring pressure, holding him down. They were still kissing, mouths locked, and Kirk wondered, desperately, if he still remembered how to breathe, whether he could tell which lungs were his own.
すぐさまそれは与えられた。スポックの唇がカークの唇の上に重なる。深く、深く、これほど深々と口づけを交わしたのがいつのことだったか、もう思い出せないくらいに。カークの腰の脇に当たるスポックの両膝が、カークをしっかりと挟み込み、抱えるようにしながらカークの体を押し倒した。2人はそれでも口づけを止めようとせず、しっかりと互いの口をふさぎ合った。そしてカークは必死になって自問した。息の仕方を自分がまだ忘れていないかどうか、二人の肺のどちらが自分の肺なのか区別できるかどうかと。

//breathe t'hy'la//
//息をされたらどうです、心の友よ//
(注:キスに夢中で呼吸するのを忘れているカークへのスポックのジョーク)

// ? //
//え、何だって?//
(注:スポックのジョークが分からずにカークが尋ねている)

// ! // Psychic laughter.
//まったく!//(注:やっとカークも分かった)
スポックの笑うテレパシーが伝わってくる。

Against Spock's shoulder, he whispered his whole name, the hundred elaborate syllables that had been the first erotic touch between them. The first year they'd been lovers, Spock had taught it to him, sound by sound, until he could speak it as easily as his own.
スポックの肩に顔を埋めて、カークはいくつもの微妙な音節からなるそのフルネームを囁きかけた。それは二人の間で交わされた最初の性的な行為であった。2人が愛し合う関係になった最初の年、スポックはその発音をカークに手ほどきしてくれたのだ。一音ごとに。自分の名前と同じくらいカークがたやすく発音できるようになるまで。

//love you Jim beautiful golden-eyed alien what do you do to me//
//愛しています、ジム。美しい金色の瞳をもつ異星人のあなたは、どうして私をこんな気持ちにさせるのですか?//

He was hard, hammeringly so. His erection was pressing hard against his jeans, held against him by the weight of Spock's body on his, and he was almost screaming from it. He had both hands on Spock's back, holding the man against him and questing under his clothes. Such hot skin.
カークのそれはすでに硬く張り詰め、力強く脈打っていた。頭をもたげたカーク自身がジーンズを激しく突き上げたが、カークの上に乗ったスポックの体重によって押し返され、カークは思わず悲鳴を上げそうになった。カークは両手をスポックの背中に回し、自分の方へと強く抱き寄せ、スポックの服の下をまさぐった。焼けるような熱い肌が、そこにはあった。

He could count every vertebra in the spine, feel each rib branching away. Kirk shifted a little, enough to rock his hips against Spock's and beg for release. He was kissed again, quickly, without getting any hold on his lover's mouth, and then Spock sat back and started peeling the denim away from him.
カークはその背骨の一節、一節を数えるかのように、そこから分岐する肋骨の感触を堪能した。自分の腰をスポックの腰に擦り付けられるよう、少しだけ身体をずらすと、互いの解放をせがんだ。再びカークは恋人からキスの攻撃を受けたが、その動きはすばやく、唇を捉えることはできなかった。やがてスポックは座り直すと、カークからジーンズを引き剥がし始めた。

He felt the flash of almost-priggish humour as Spock discovered his nakedness underneath the trousers, and for a half a second wanted to apologize, to explain how hot he'd been sleeping, that he hadn't expected to be exposed in this small impropriety, that it had just felt good and he'd wanted to be naked.
ズボンに包まれていた下半身が露になるのをスポックが目にしたかと思うとカークは、まるで道徳観念に厳しい手合いに嘲笑されているような恥ずかしさを感じた。瞬く間に釈明したくなり、寝ているとき自分の体がどんなに火照っていたかとか、こんな風につまらない不調法をさらけ出すはめになるとは思ってもみなかったとか、単に気持ちが良かったから、脱ぎたかったからだとなどと弁解したい衝動に駆られた。

He wasn't able to give anything more coherent than a moan when a moment later Spock bent and kissed him just below his navel.
だが、その直後、身を屈めたスポックに臍のすぐ下をキスされたカークは、もっともらしい言い訳を言うどころか、ただうめき声を上げることしかできなかった。

More touches. Spock stripped him and sat back, fully clothed, between Kirk's spread thighs.
スポックの愛撫はさらに続いた。カークの服を脱がせるとスポックは、服を着たまま、思いきり開かれたカークの太ももの間に座り直した。

//want you//
//あなたが欲しいのです//

"Yessss." It was as much a hiss as a word. With his erection brushing his belly, Kirk couldn't assemble anything coherent beyond desire.
「私もだ……」
ほとんど消え入りそうなかすれ声で答えた。自分の下腹を掠めるほど自身を反り返らせたカークの頭は欲望に溺れ、理性的なことは何一つ考えられなかった。

Abruptly, Spock shifted away from him. He had a flash of cold before the quilt was wrapped around him and Spock vanished into the house. Kirk was still questing after his lover's intention when the man came back, padding silently across the threshold. In the darkness, he was simply a shape in the doorway, very still.
不意に、スポックはカークから身を離した。カークはキルトを纏う前に味わったような冷気の直撃を受け、そしてスポックは家のどこかに姿を消した。足音を忍ばせるようにそっと敷居を跨いで、その男が戻ってきた時点ではまだ、カークは恋人の意図を図りかねていた。暗闇の中、その男は戸口のところに立つ、単なる影のように、微動だにしなかった。

Kirk had to reach with his mind as much as with his eyes to catch his lover's disrobing, though he could just faintly hear the clothes pooling on the unvarnished porch boards.
恋人が服を脱いでいるのだと判るためには、カークは目を凝らすだけではなく、二人の絆を通して心で彼を捉えなくてはならなかった。カークの耳には、塗装していないポーチテーブルの上に服を載せる音がほんの微かだが確かに聞こえたというのに。

When Spock settled against him again, it was with the quilt between them. Through it, Spock traced the lines of his body. Fingers probed to make out his arms and his chest, the softness around his waist that middle age was bringing.
スポックが再びカークの上に戻ってきた時、2人を隔てるものはキルトだけだった。布地越しにスポックは、カークの身体の輪郭を辿った。その指がカークを探るように触れてくる。カークの腕や胸の形や、中年という年齢の賜である腰の回りの柔らかさを確かめるかのように。

He knew he had to be flushed, and he was unreasonably grateful for the absence of light. It hadn't crippled his lover's touch. Hot, dry hands settled around his ankles and ran steadily up his legs, pushing the blanket aside, until he was naked to the waist.
ここは頬を赤らめる場面なのだろうと感じたカークは明かりが点いていないことに、おかしなことではあるが感謝した(注:中年のカークは今さら結婚初夜の花嫁のようには振る舞えないので)。おかげで愛する男が自分に触れたときに興ざめせずに済んだからだ。熱く、乾いた手がカークの足首をつかみ、両足をしっかりと掲げた。毛布を脇にどけると、カークの腰の辺りはむき出しになった。 

Almost before the air touched him, he had Spock's body between his legs and his lover's head bending to take him in. Tongue against the underside of his cock, warm breath in his pubic hair.
下半身が外気に晒されるかされないかのうちに、スポックの身体が脚を割るように入ってくるのを感じた。そして、カークの愛する男は頭を下げ、カーク自身を捕らえた。ペニスの裏側に舌が触れ、暖かな息が恥毛にかかる。

Spock cradled his hips, letting Kirk thrust as urgently as he needed to. He'd needed this, he'd needed this so badly. In the weeks of silence between them, he'd been reluctant even to relieve his own needs, and he was suddenly desperate.
スポックはカークの尻を両手で優しく抱えた。欲望の赴くままにカークが貪るように押し付けようとするのに応えようと。カークはこうしたくてたまらなかった。どうしようもないくらいこうしたかった。2人の間で沈黙が続いたこの数週間、カークは己の欲望を自らの手で解放する気もなくなっていた。そんなカークは今、にわかに自分が抑えられなくなっていた。

//love you Jim love your voice love your hands on my shoulders your fingers at the back of my neck love the smell of you the taste of you the way you move come for me//
//あなたを愛しています、ジム。あなたの声が、私の肩を抱くあなたの手が、私の首の裏に触れるあなたの指が好きです。あなたの匂いが、あなたの味が、あなたの動作が愛しい。さあ、私の口の中に解き放って//

He came, shouting harshly in the back of his throat, and let himself thrash with Spock there to cradle him. He relaxed only gradually, settling back against the swing cushions, almost purring as Spock stroked his hip gently.
カークは達した。叫び声は喉の奧から振り絞ったように掠れ、スポックに抱えられるようにして、のたうち回った。徐々にではあるが、カークは落ちつきを取り戻していった。揺り椅子のクッションにもたれ、スポックに尻を優しく撫でられ、まるで満足した猫のように喉をゴロゴロと鳴らしでもするかのように。

He felt Spock release him, but the hot cheek only pulled back far enough to rest against his thigh. Across the bond, he whispered, //still want you//
スポックの口が自分を解放するのをカークは感じた。だが、その熱い頬はカークから離れることはなく、カークの腿の上に預けられた。長年の2人の絆を通して、カークは囁いた。
//もっと君がほしいんだ//

// . //
//。//
(無言の了解)

Spock shifted, re-wrapping Kirk in the blanket, and came up to kiss him. Kirk could taste himself in that mouth, but he was losing himself in the heat of it, in the taste of coffee and something like smoke underneath.
位置を変え、改めてカークを毛布で包み直したスポックは、カークの上に這いあがると口づけをした。スポックの口腔の中は自分の放ったものの味がしたが、カークはそのあまりの熱さに、コーヒーの薫りに、そしてその底に流れるタバコの火のような感覚(注:前に出てきたタバコのイメージ)に溺れてしまっていた。

Kirk raised and spread his knees, shrugging the blanket off, and waited like that until Spock slid a hand between them and pressed gently. He opened, but slowly; they hadn't made love in weeks.
カークは身を起こすと、膝を思いきり広げ、毛布を振り落とし(shrug of=身をくねらせて脱ぐ)、そしてそのままの姿勢で待ち受けた。スポックが膝の間に手を潜らせ、カークの秘所にそっと指を当ててくれるまで。カークのそれは開かれた。だが徐々にだった。二人は何週間も愛し合っていなかったからだ……。

He felt his lover shift against him, and the next touch was slick. He accepted the finger, gasping a little as it pressed deeper, and wriggled against it as he gradually relaxed.
恋人が角度を変えて指を差し入れ直すのを感じたが、今度の手触りはなめらかだった。カークはスポックの指を受け入れた。深く差し込まれるたびに小さなうめき声を上げたが、徐々に気持ちがほぐれていくにつれて、その指に自分の身体を押し付けるかのように身を捩り始めた。

The other man added a second, stretching him very gently, and probed until he hit the correct angle and Kirk bucked against the penetrating hand. They were kissing again, as deeply as they had when they were new lovers trying one another's limits, and he had to have this, had to have it.
男はさらに指を増やし、カークを優しく押し広げた。スポックがちょうどいい角度を探り当てるとカークの腰は挿入された指に向かって跳ね上がった。2人は再びキスを交わした。どこまでも深く深く。愛し合って間もない恋人たちがお互いの限界を試そうとするかのように。今のカークはどうしてもこれ(=スポック自身)が欲しかった。それ(=スポックとひとつになること)無しではいられなかったのだ。

He desperately needed the body between his legs to take him. He raised his knees higher and held himself open until he felt his lover's cock pressing against his asshole.
自分の脚の間にスポックの身体を受けとめたい衝動でカークは気も狂わんばかりだった。膝を立てると、手足を思いきり広げて彼を待ち受けた。やがて自分の秘所に愛しい男の性器があてがわれるのをカークは感じた。

For a dozen breaths it was too much, it burned too intensely, and then he felt the intense pleasure he remembered from other lovemakings flaring up from his hips to his eyes. Spock settled against him, shifted until Kirk's legs could wrap around his waist, and then thrust once, hard.
1ダークもの呼吸ができるくらいの長い間、それはあまりに強烈で、激しいばかりに熱く燃えたぎっていた。やがて、かつての性戯で受けた快感を思い出させてくれるような、強烈な快感がカークの腰から目にかけて電流のように流れるのをカークは感じた。カークの真正面にしっかりと自分の躯を重ねるとスポックは、カークの脚が自分の腰に絡むよう身体を動かした。そして、おもむろに奧まで一気に貫いた。

Kirk didn't so much scream as shriek. He didn't have breath for more, no volume, just an expression of the flaring pleasure and the underlying burn. He couldn't imagine being cold, not with the dry fire of that body against him and in him.
カークは切り裂くような悲鳴を上げたわけではなかった。もはや息も出来ず、声も出せず、ひたすら身体中に広がる快感と内に秘めた熱情を露にするだけだった。カークはもはや思い出すことすらできなくなっていた。その熱く乾いた肉体(注:バルカン人はあまり汗をかかないため)を自分の上に、そして自分の内部に受けとめていない寒さがどんな感じだったのかすら……。

Spock re-angled and thrust again, bent his long torso to kiss the man under him, and rocked them together until Kirk started to buck for attention against him. Without breaking rhythm, he broke the kiss and leaned up enough that he could fit a hand between them to stroke Kirk's rising erection.
スポックは角度を変えると、もう一度、深く貫いた。その長い上半身を曲げ、自分が組み敷いている男の唇を捕らえた。やがて2人は共にリズムを刻み合い、たまらなくなったカークはせがむように腰を跳ね上げ始めた。そのためスポックは、リズミカルな抽送を崩すことなくキスを中断すると、2人の間にギリギリ手を差し挟めるだけ身体を浮かし、猛っているカークの雄芯をしごいた。

//God yes please//>
//ああ、イイッ、スポック。お願いだから……//

The porch swing swayed almost violently with the strength of their movements; at any other time he would have put a foot down to still them, but he didn't want to let go.
力任せに2人がのたうち合うせいで、ポーチの揺り椅子はほとんど暴力的とも言えるほど揺れまくった。ほかの時なら、カークは足を付いて揺れを止めようとしただろう。だが、今のカークはそうしたいとは思わなかった。

//anything anything anything for you anything you want//
//何なりと 何であろうと どんなことでも あなたのためなら いかなることでも あなたが望むままに//

The fingers against him felt too good. He had to let go of the last of his control and tremble his way through a second orgasm.
カーク自身に触れてくる指がもたらす快感は頭が変になりそうなほど心地よいものだった。カークはなけなしの自制心を手放し、2度までも訪れた絶頂に身を震わせるしかなかった。

He'd only just begun to breathe again when Spock's mouth locked onto his, hard, and pushed air into his lungs, breathing for him through the kiss while his lover thrust again, and once more, so hard Kirk's teeth shook, and came.
カークが息を吹き返そうとした途端、スポックがその唇を塞いだ。隙間もないくらいぴっちりと塞ぐと、カークの肺の中へと空気を送り込んだ。唇を通してカークへ息を吹き込むと同時にカークの愛しい男は、もう一回、さらにもう一回と、思いきり貫いた。カークの歯がガタガタ奮えるほど激しく。そしてついにスポックは達した。

Kirk had to relax, eventually, and let his legs slide down. The changes in angle had demanded as much of his hips as any man his age had any right to ask of his body.
さすがのカークにもとうとう休憩が必要な時がきた。ノロノロと足を伸ばすと床にブランと降ろした。無理な姿勢が、カークくらいの年の男なら誰しも体にしんどいと感じる(ask+目+of+代=人に愛顧を請う)のが当然なくらいの負担を、カークの腰に強いたからだ。

Even without the clasp, Spock stayed resting against him, and Kirk eventually found enough of the quilt that he could throw it over them. On the other side of the screens, it was still raining, and the cooling sweat on his body made him frighteningly cold.
握り締める力さえ使い果たしたスポックはカークの上に倒れるように身を横たえた。やがておあつらえ向きなことにキルトの存在に気付いたカークは二人の上にほうり投げた。網戸の向こう側では、未だに雨が降り続けていた。そのため汗まみれの身体が冷えて風邪を引いてしまうのではないかと心配になったのだ。

He was half asleep by the time Spock roused and kissed him. It was unlike Spock to have released control to that extent -- his reserve at any other time would have demanded absolute discipline even in the depths of their lovemaking.
我に返ったスポックがカークに口づけした頃には、カークの方は半ばまどろみ始めていた。これほどまでに自制心を失ってしまうとは、およそスポックらしからぬことだった。-- いついかなる時でも彼の慎み深さは、絶対的な自制心を自らに要求した。たとえ2人が愛の営みの真っ最中であろうとも。

Being touched like this in total relaxation was a gift he'd seldom been allowed, and he let his gratitude for it drift across their connection.
が、こんな風に、完璧なまでの解放感に包まれながら互いの身体に触れ合うというのは、カークにとっては、めったに許されることのない、まさに天の恵みにも等しいものであった。そんなカークは手放しで感謝の気持ちを伝えた(注:夢中でキスするなどして)。二人の絆を通して……。

"Yes, t'hy'la." Kiss at the corner of his mouth. "However, I believe that even with your quilt, the cold will shortly be uncomfortable for us both." Kiss just below his ear. "Perhaps we should move," kiss between his eyebrows, "indoors."
「私もです。心の友よ」
カークの唇の端にキスが落とされる。
「キルトを掛けても、この寒さではじきに居心地が悪くなりますね」
カークの耳の直ぐ下のところにキスが落とされる。
「思うに我々は移動すべきではないかと……」
カークの眉の間にキスが落とされる。
「家の中へ入りましょう」

He hadn't realized how tangled they were or how stiff he was until he went to sit up and nearly fell sideways. He needed all of Spock's support to get him to his feet and gently propel him into the house.
立ち上がりかけた瞬間、あわや外へ落ちるという段になって初めて、カークは知った。どんなにか2人が毛布にがんじがらめになっていたのか、どんなに自分の身体が凝っていたのかを。立ち上がる(get to one's feet=立ち上がる)のに散々スポックに世話を掛けたカークは、優しく促されるようにして屋内に引き返した。

Just at the doorway of the kitchen, though, he regained enough balance to twist Spock and pin him against the wall. After nearly an hour awake in the darkness, he could see well enough to make out all but the smallest details of his lover's face. The expression didn't change, but he hadn't expected it to.
それでも台所の戸口に差し掛かる頃には、自分で立てるくらいまで体力が回復したカークは、スポックの身体をひねり、画鋲でとめるかのようにしっかりと壁に押さえ付けた。暗闇の中で目覚めてから1時間近く経った今では、愛しい男の顔のいかなる(all but=ほとんど)細部でさえもカークには見分けることができた。スポックの表情は変わっていなかったが、カークはそれが変わってほしいとも思わなかった。

It would have shifted little enough even in the seconds before orgasm. Only tiny shifts in the lines around the almost-black eyes communicated his lover's tolerance and willingness to wait and be studied.
絶頂に達する直前ですら、その表情が変わることはほとんどない。唯一、漆黒の目の縁をほんの僅か揺らすしぐさが、彼が忍耐強いことと、カークがじっくりと自分を観察することができるよう立ち止まるのを快く思っていることを表していた。

In the instant after that, though, Spock's hands caught him, one at the back of his neck and the other at the side of his face. He was tilted towards the small light coming through the kitchen windows, and then the one hand traced down his cheekbone to his jaw.
壁に貼り付けられたというのにすぐさま、スポックの両手はカークを捉えた。片方の手はカークの首の後ろに触れ、もう片方の手はカークの顔を脇から捕らえた。台所の窓越しに照らす小さな稲光の方へとカークの顔が向けられると、スポックの片方の手はその頬骨から顎へとなぞるように降りていった(注:スポックもカークの表情を改めて観察し、そこに30歳の頃の少年のようなカークを見出している)。

//you are still there//
//あなたは変わらずにいつもそこにいてくれるのですね//

// ? //
//どうしたって言うんだ?//

//when I first met you, you were a boy of thirty I can see him in you//
//あなたに初めて会った時、あなたは30歳の少年でした。そして今でもあなたの中には、あの頃と変わらないあなたがいるのが、私には見えるのですよ//
(注:カークが年を取ってもカークへの愛が変わらないということを表している)

Later, he didn't remember climbing the stairs, only the process of shutting off the fan and arranging his body against Spock's on the bed. When he finally settled, they were spooned with Spock in front of him and his hand on Spock's side to feel the alien heart beating.
その後、どうやって階段を上ったのか、カークにはもう思い出せなかった。唯一、送風機の出口を締め、ベッドに寝そべるスポックの身体の脇に身を横たえた記憶の他は。ついにカークは自分にとって一番居心地がいい場所に収まると、カークの前にスポックが来る形で、二人は身体を重ねた。スポックの脇腹に手を載せるとカークは、その異星人の男の心臓が脈打つ感触を堪能した。

The breeze from the open window shifted across the blankets, making Spock shiver a little as he settled and eventually slept. Kirk stayed awake, resting between Spock's body and the wall, listening to it rain.
時折、開け放した窓から微風が毛布へと吹き込んでくる。するとスポックは僅かに身を震わせたが、やがて落ち着くと、ついに眠りに落ちた。目が冴えてしまったカークは、スポックの身体と壁の間に挟まるようにして、雨の音を聞いていた。

Once he felt Spock's dreams start, he freed a hand to run across the other man's features, trying to memorize them by touch alone.
スポックが夢の世界に召されたのを見計らうとカークはその男の顔の上に思う存分、手を走らせた。ただひたすら触れることでその男の記憶を脳裏に刻みつけようと……(注:カークは自分の寿命がスポックに比べてそう長くない、じきに今生の別れが来ることを知っているので、スポックとの貴重な時間を慈しみ、スポックの面影をつぶさに記憶したいと思った。だがそのことをスポックに気付かせたくないために寝顔をさすったのであろう)。

End
終わり

お世話になった方々へ
これらの対訳ページを作成するにあたって、翻訳のご要望をくださったK/SファンのK様、その要望にぴったりの作品を推薦していただいたMary Ellen Curtin様(そのスタートレック・スラッシュへの造詣の深さにはひたすら尊敬いたします)、Kamen様、快く翻訳の許可を下さった作者様、及び原作背景・英語表現を解説してくださったMary Ellen Curtin様、Kamen様、Jeanne様に深く感謝いたします。それとカークの兄の話が第29話であることを私に教えてくれ、ビデオを見せてくれた家人にも。


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